ユースアカデミーブログ

GIFC ゲイラン通信 ④ 

みなさんは「ラマダン」という言葉を聞いたことがありますか?
僕は、「ラマダン=断食」というイメージは持っていたものの、実際に指導する選手たちが直面し、サッカーそのものに大きな影響を与えるものだとは、ここに来るまで想像もしていませんでした。

シンガポールの選手の多くはイスラム教徒のマレー系民族です。つまり、イスラム暦の9月にあたる1ヵ月間は(今年は5月28日~6月25日)日の出の礼拝から日没までの間、一切の飲食や喫煙などをしてはいけません。文字通り「断食」です。

選手たちも例外ではありません。約1カ月にも及ぶ長い毎日、太陽が出ている間は、何も口に出来ないのです。
トレーニング中、喉がからからになっても、水を口に含むことすら許されません。

ラマダン期間中、全てのクラブはトレーニング開始時間を17時に設定にすることで、彼らに配慮してはいます。僕も選手たちの気持ちを味わってみようと、挑戦してみましたが、喉の渇きに耐えるのが本当にきつかったです。

チームのコーチたちも、僕以外はほとんどがイスラム教徒です。
先月は体調を崩しながらも、当たり前のように「断食」を乗り越える仲間の姿を目の当たりにし、僕は持参した弁当を思わず、机の中にしまう日もありました。
 
彼らは1日5回のお祈りを捧げています。具体的な祈りの時間は、場所や日の出・日没の時間によって変わります。今では何時にお祈りをするかを示してくれる、スマホのアプリがあるそうです。時代ですね。
コーチ室の一角で仲間が床にひれ伏し、祈りを捧げる姿を初めて目撃した時には、信精神を覚えました。

そして何を祈っているのか、気になっていました。
コーチ仲間の1人、Dalis がこう話してくれました。
「例えばきょう、自分に面白くないことがあったとする。でも自分に面白くないことがある代わりに神は自分の家族や友人には幸福をもたらしてくれる。だからそれでいいんだよ。それがイスラムの考え方なんだ」

テレビで見ていた、イスラム教への先入観は、彼らの笑顔と祈りの姿でみるみるうちになくなりました。